皆さんが一度は目にしているであろう、小売店や飲食店をはじめとした
商業施設の店先に飾られるのぼりですが、どんな素材でできているかを知っているでしょうか。
街中で目にするセールや季節商品の販売を知らせるものや、スタッフ募集の広告として
利用されているのぼりの多くは、安価で軽量なポリエステル製であることが多いです。
ポリエステル素材は撥水性も高いので、雨の日も屋外に掲げておけるメリットがあります。
しかしながら耐久性は高くなく、特に屋外に掲示される場合、交換目安は3ヶ月とされています。
加えて屋外に設置されている物は、路面や駐車場といった排気ガスの影響を
受けやすいのですが、ポリエステルは摩擦による傷みも生じやすいので
洗濯することは難しいといえます。
とはいえ、季節商品の販売やスタッフ募集のお知らせは、長期間掲示するものでもないので、
定期的に交換することで印象を新鮮にすることも店舗運営の戦略です。
ところが、お祭りなどの折に触れて掲げられる神社ののぼりは願掛けのために
奉納する品物であったり、神様に来ていただくための目印としての意味合いもあるので、
長期間良い状態で掲げられる素材が必要とされます。
神社用のぼり旗の素材
神社で使用されるのぼりは商業施設で使用されるものとは異なり、縦は180センチ、横は60センチの大きなものが主流です。
掲げる理由はいくつかあり、商業用ののぼり旗と同様に社名を掲げることでお祭りが行われていることを知らせるほか、お祭りに際してお米などの品物を奉納したり、神楽をはじめとする芸能の奉納を行う場合、それらの証明としてのぼりを掲げます。
このような時に用いられる神社用ののぼり旗は、現在も昔ながらの風合いを持った天然繊維が主流です。
天然繊維を用いるのぼり旗の素材にはいくつかあり、耐久性の高いキビラ麻もそのひとつですが、目が粗いので神社用のぼりに使用されることは少ないです。
目が細かく好まれる木綿素材にもいくつかの種類があり、中でも手ぬぐいの生地で知られる金巾と天竺がのぼりにはしばしば用いられます。
しかし、神社用のぼりは人の背丈を超えるような大きさがあるため、薄くて柔らかい金巾よりも厚みのある天竺の方がより仕上がりが良くなるのです。
ちなみに、木綿素材で天竺という名称はメリヤス編みと混同されることもありますが、のぼり旗に使用されるのは縦横の密度が同じ平織りの布のことです。